「耳付きテーブルの魅力」 BRUNCH東京目黒本店
COLUMN家具職人コラム
2022.10.24
コラム
「耳付きテーブルの魅力」一枚板、ブックマッチ、耳付き接ぎ
耳付きテーブルを大きく分けると一枚板、ブックマッチ、耳付き接ぎの3種類があります。本ページでは耳付きテーブルの種類やそれぞれの特徴、選び方をご紹介いたします。
耳付きテーブルの魅力
「耳付きのテーブルとはなんのことだろう……?」と疑問を持たれている方も多いかと思います。耳と聞いて、パッと思いつくのはやはり顔についている耳でしょうか。じつは木にも人間と同じく耳と呼ばれる部分があるんです。
耳とは
このデコボコ(耳)は、世界にひとつとして同じ形状は存在しません。耳があるか否かで、テーブルの表情がガラリと変わります。耳とは自然の雄大さや美しさを感じることができる、テーブルにとって重要な要素なのです。
3種類の耳付きテーブル
そんな魅力あふれる耳付きテーブルには「一枚板」「ブックマッチ」「耳付き接ぎ」の3種類のテーブルがあります。それぞれの特徴や魅力を簡潔にご説明いたします。
一枚板
一枚板はなんといってもその圧倒的な存在感が最大の魅力です。一枚板をお部屋のコーディネートの中心に据えて、木目の表情や天板の厚みなど、木が持つ本来の美しさや魅力をありのままに楽しんでいただけます。
ブックマッチ
木が持つ本来の美しさや魅力を残しつつ、デザイン性をプラスすることで洗練された雰囲気を出せる点がブックマッチの最大の魅力です。本来は対極にある自然の魅力と、都会的な雰囲気をどちらも感じていただけます。
耳付き接ぎ
ナチュラルなデザインなので、木が持つ本来の魅力や特徴を感じつつ、どんな空間にも合わせやすい点が最大の魅力です。お部屋の他の家具とのバランス・まとまりを持ちながら、木の魅力を感じていただけます。
耳付きテーブルの選び方
このように一括りに耳付きテーブルといっても、形によってそれぞれの個性・特徴が異なり、樹種によってもそれらが異なりますので、その中からたった一つを選ぶというのはなかなか骨が折れることだと思います。
「戸建て」の方へのお勧め!一枚板、耳付き接ぎ
戸建ての広々とした開放的な空間には、自然の雄大さを感じられる一枚板がよく映えます。木がもつ美しさや自然味をありのままに表現し、天板の厚みや木目の表情から感じられる存在感を余すことなく楽しんでいただけます。
お部屋の雰囲気を選ばず、お部屋の家具との調和を取りやすいデザインが魅力の耳付き接ぎ。どんなお部屋にもすんなり馴染みながら、耳付きの自然味、ほどよい存在感を感じていただけます。
「マンション」の方へのお勧め!ブックマッチ
洗練された雰囲気のブックマッチはマンションの都会的なイメージとぴったりです。モダンでシャープな雰囲気を醸し出してくれるとともに、耳の自然的な魅力が合わさり、双方の良さが引き出された空間となります。
一枚板の特徴、魅力をご紹介いたします
丸太から一枚丸ごと切り出される、一枚板
一枚板はその名のとおり、丸太を一枚丸ごと採り出す、どこにも接ぎ目がない一枚状の天板のことをいいます。木は途方もない長い年月を経て少しずつ大きくなります。この長い時の中で自然の雄大さ、美しさを秘めながら成長した木には、この世にふたつとない魅力に溢れています。丸太からそのまま採り出された一枚板には、木が生まれてからテーブルになるまでのすべての魅力が余すことなく詰まっているんですね!
長い年月を経て形作られる、一枚板
Brunchが取り扱う耳付きテーブルの多くが、奥行き800mm以上あります。このサイズの一枚板を丸太から製材する場合、どれくらいの時間が経った木が必要か、ご存知でしょうか?木によって成長の速度は変わりますが、そのほとんどが100~400年以上もの年月がかかると言われています。ちなみに100年前の日本は、大正3年(1914年)。東京駅が開業し、上野動物園に日本初のエスカレーターが設置された時代だそうです。あまりピンとこないかもしれませんが、それほどの月日を掛けないと、テーブルとして使える一枚板は生まれないんですね!
一枚板の特徴 表情、厚み
一枚板が採れるまでには途方もない月日がかかります。真夏の暑い日も、雪が降る日も、風が吹きすさぶ日も雨の日も。移ろいゆく景色と時間を経ながら、少しずつ木は成長していきます。そんな日々を通して少しずつ変化していく木目や形が、一枚板に切り出した際に唯一無二の表情となって表れます。人工的には決して作り出せない、長い年月を費やしたからこそ生まれる個性は、一本一本違うもの。これこそが一枚板の魅力です。
同じ栃一枚板でも、木目や表情がこれだけ違いが生まれます。特に左の栃一枚板は「縮み杢」と呼ばれる杢目(もくめ)が全体に入った、とても希少な木目が出ています!
「杢目」とは木目に稀に現れる「特殊な木目」のことで、自然からさまざまな影響を受けることで現れます。木目と杢目。どちらも「もくめ」と読みますが、「木目=年輪」「杢目=模様」と考えていただければ分かりやすいでしょうか。もちろんすべての木に杢目が表れるわけではなく、木によって表れやすい杢目も変わってきます。
栃は比較的ねじれたり、曲がったりしながら育つ木ですが、こういった特徴の木に表れやすい杢目が「縮み杢(ちぢみもく)」です。また杢目の希少性もさることながら、それを製品に仕上げるには技術が必要となります。そういった点でも一部に留まらず天板全体に縮み杢が現れる一枚板はとても希少と言えます。
一枚板の重厚感を、シンプルに表現した部分が「天板の厚み」です。BRUNCHの一枚板は50mm以上が多く、一見しただけでその迫力に息を呑んでしまいます。もちろん一枚板を厚く仕上げる理由は見た目だけではありませんが、この厚みこそが一枚板の魅力のひとつです。中には右写真のナラ一枚板のように、厚みが105mmある板も!
一枚板の魅力 存在感、ダイナミック
一枚板の魅力は「木目の表情」や「天板の厚み」もさることながら、最大の魅力はなんといっても「存在感」です。この世にふたつと同じ木目がない贅沢、表情や厚みから感じられる自然の雄大さや迫力。長い年月によってそれらすべてが一枚板に集約されています。より贅沢に、よりシンプルに木の家具を楽しむ。そんな方に一枚板がお勧めです。
二股のウォールナット一枚板に細身の鉄脚を合わせた例です。存在感が圧倒的な二股の一枚板天板にスタイリッシュな鉄脚を合わせることにより、一枚板が浮き上がって見え、お部屋の雰囲気が一変します。すっきりとした異素材である鉄脚で圧迫感を軽減し、耳の部分が際立つコーディネートとなります。ウッディ過ぎることなく、一枚板の魅力を損ねることがありません。
一枚板をデスクとして使用した例です。勉強や仕事をするだけの場所としてではなく、デスクという自分だけの空間を贅沢にすることで、日々の生活を充実させてみることも良いでしょう。
一般的なテーブルと耳付きテーブル3種類のそれぞれを見比べてみましょう
お部屋の雰囲気がガラッと変わりますね。一般のテーブルは綺麗に形取られて、スッキリとまとまった印象になりますが、対照的に一枚板はテーブルの存在感が色濃く出ます。天板の大きさは同じW:1800mm、D:900mmですが、天板の厚みは55mmと一般的なテーブルの厚みよりも約2倍ほど厚く、迫力が違います。加えて耳の形状に着目してください。一枚板だからこそ感じられる耳の美しさ・魅力によって、一枚板のほうが空間のメインアイテムとしての存在感を存分に出しています。この存在感や重厚感をしっかり活かせる空間、広々とした空間「戸建て×一枚板」の組み合わせが相性が良いです。
いかがでしたか?接ぎ目がない贅沢な一枚板。そこから感じる重厚感、高級感は一枚板ならではです。100年、200年という途方もない時間を経て育った木には、言葉では言い表すことができない魅力が詰まっています。その魅力をあるがままに表現したテーブル、それが一枚板なんですね。
ブックマッチの特徴、魅力をご紹介いたします
ブックマッチとは
ブックマッチとは、もともと一本の木を製材した際に隣り合わせだった2枚の板を、本の見開きのように開いて、繋ぎ合わせたテーブルのことをいいます(そのためブックマッチと言います)。つまり……、ブックマッチは一枚板が2枚使われているという、とても贅沢なテーブルなのです。
しかしなぜ隣り合わせの板を組み合わせるのでしょうか?実はこの「隣り合わせ」という点にブックマッチの魅力が隠されているんです。では次にブックマッチの特徴と魅力について見てみましょう!
ブックマッチの特徴 左右対称、スリット、時間と技術
ブックマッチは隣り合わせの一枚板を2枚並べた天板です。その2枚はもともと隣合わせで繋がっていたので、その板を見開きのように開いて並べれば「左右対称」の一枚板が2枚並ぶ、美しい天板ができあがります。この美しい「対称の木目」こそがブックマッチの最大の魅力なのです!
そしてブックマッチの「美しい対称性」をより際立たせるための工夫が、2枚の間に空けた5mmほどの隙間です。この隙間(スリット)はブックマッチの特徴でもあります。このスリットがあることで2枚の境目が鮮明になるため、より木目の対称性を際立たせることができます。また、一枚板を2枚並べた木目は高級感があり、一枚板のそれと引けを取らない、贅沢な雰囲気を存分に味わえます。
一方で「スリットのデザインは素敵だけど、このわずかな隙間に汚れがついたり、埃がたまって掃除が大変になるのでは……」というお声もよく頂戴します。もちろんその点も配慮しており、掃除や汚れが拭き取れるよう天板の裏側に、ちょうど指の入る分の隙間が設けられています。また、スリットを設けずに隙間なしのブックマッチを製作することも可能ですので、スリットありなしをお好みに合わせてお選びください。
このようにブックマッチの最大の特徴はその「左右対称性の美しさ」にあります。しかし、この左右対称という魅力を引きだすには、実はとても工数を要します。一枚板を2枚並べるためには、ある程度のサイズが必要になります。例えば、奥行き800mmのブックマッチを製作する場合、片方の板が約400mm必要になりますが、木の成長はとても緩やかで、材として採り出せるようになるまで数十年を要します。さらにその時間をかけて育った木の中から、綺麗に左右対称が現れる板を厳選して選びます。長い時間を経て育った木の中からさらに選抜されて製作されるブックマッチ……。とても希少なことがおわかりいただけるかと思います!
さらに、製材後の板は反りやねじれを防ぐために、1年から数年ほど自然乾燥させます。ブックマッチは2枚の一枚板を並べて1枚のテーブルとして使うため、木目の対称性はもとより、形やクセなどすべての点で対称になるように調整しながら製作を進める必要があります。この製作の過程で対称性を保てない材はブックマッチとして使うことができず、厳選された材のみが残っていく仕組みなのです。ブックマッチのテーブルが完成するまで、常に対になる2枚を同じ環境の中に置き、対称性を保ちつつ製作を進めることはとても大変なことで、職人の確かな技術のもと、時間と手間をかけてブックマッチは完成します。このような長い工程を経るからこそ、ブックマッチは一枚板に勝るとも劣らない価値が生まれるのです。
自然の雄大さや迫力を感じていただくために、最大限加工を加えずに、ありのままの魅力を前面に押し出した一枚板に対し、ブックマッチは前述した特長を活かすために、職人の高い技術をもとに実現させたテーブルだと言えます。
ブックマッチの魅力
美しい対称性とスリットの組み合わせにより引き出されるブックマッチの魅力。一般的なテーブルでは見かけることがないデザイン性の高さは、耳付きテーブルがもつ自然の雄大さや迫力に、洗練された雰囲気をプラスしてくれます。一枚板とは違い、ブックマッチの場合はどの樹種でも厚みは35mmで統一されています。これはブックマッチのもつ洗練された雰囲気を損なわないために考えられた適度な厚みです。
自然の雄大さ・迫力を感じる耳部分。美しい左右対称とスリットによる洗練された雰囲気。その雰囲気を損なわせない、ほどよい天板の厚み。自然味とデザイン性、本来対極にある存在を、絶妙なバランスであわせ持つテーブル、それがブックマッチです。自然の魅力が溢れている、でもどこか都会的で洗練されたイメージ。そんなテーブルをお探しの方には、ブックマッチがお勧めです。
朱里(しゅり)ザクラのブックマッチダイニングテーブルです。サクラ特有のキメ細かい木肌、得も言われぬ美しい色味と、ブックマッチの洗練された雰囲気がとても合っています。
重厚な雰囲気を感じさせるウォールナット材ですが、ブックマッチテーブルに仕立てた場合は都会的なエッセンスと普遍的な高級感で現代的なお部屋に相性抜群です。
クリの実の印象が強いクリの木は、そのイメージ通り黄色味がかった経年変化をしていきます。ブックマッチのスリットが牧歌的な印象をシャープに引き締めスタイリッシュに仕上げます。
ブラックウォールナットと似た木目をもつオニグルミのブックマッチテーブルは、キメの細やかな表情とやわらかな雰囲気を有し、カジュアルなお部屋を作り出します。
太く育ちにくいオーク材の美しい木目を存分に楽しむにはブックマッチテーブルがうってつけ。レッドオークは桃色がかった薄茶色から帯赤褐色まで、さまざまな木目がテーブルいっぱいに楽しめます。
左右対称に現れた節がとてもいいアクセントに。ブックマッチだからこそ感じることができる木目の表情を存分に楽しんでください。
ブックマッチによく似合う二本脚。長手方向から見て内側に脚を取り付けることで、よりスッキリとした印象になります。高いデザイン性のブックマッチを引きたててくれるテーブル脚です。
鉄素材ならではの薄さ9mmのプレートをハの字に配置し、使いやすさとデザインを両立した鉄脚をブックマッチ天板に合わせました。スタイリッシュさに磨きがかかり、妥協のないテーブルができあがります。
細身の丸い無垢鉄を溶接で組み上げ、金属でもやわらかな印象に仕立ててある丸鉄二本脚。ブックマッチテーブル特有のモダンなスタイルを足元から支え、より美しく纏め上げます。
耳付き接ぎの特徴、魅力をご紹介いたします
耳付き接ぎとは
耳付き接ぎとは、テーブル両端の耳を残した、何枚かの細板を接ぎ合わせたテーブルのことをいいます。「一枚板以外のすべてのテーブル」は基本的にこの接ぎ合わせという手法で製造されています。「耳付き接ぎってなんだか一枚板やブックマッチに比べると、すこし平凡な気が……」そう思われましたか?いいえ、そんなことはありません!耳付き接ぎにも特徴や魅力がたくさんあるんですよ!
耳付き接ぎの特徴 ナチュラルな造形、テーブル脚、細かなこだわり
存在感がある一枚板や、洗練されたデザインのブックマッチに比べると、ナチュラルなデザインの耳付き接ぎ。そのナチュラルなデザインこそが、耳付き接ぎの個性です。一枚板とブックマッチはお部屋の中心の家具になるくらい存在感があります。対して耳付き接ぎは、ナチュラルなデザインゆえお部屋や周りの家具との調和がとりやすく、どんな空間でもすんなりと馴染んでくれます。戸建てのお部屋でもマンションのお部屋でも、自然にその空間に溶け込み、それでいて耳付きのほどよい存在感をしっかりと楽しんでいただくことができます。
BRUNCHでは多種多様にテーブル脚を取り扱っています。シンプルな形状から個性あふれる形状など、さまざまな木脚や鉄脚。耳付き接ぎはナチュラルなデザインゆえに、どんなテーブル脚とも相性が良く、テーブル脚によって耳付き接ぎがさまざまな雰囲気・テイストに変化してくれます。それによってチェアの選択肢が広がるため、より自分好みのダイニングスペースをつくることができます。バランスの良さと柔軟性に富んだ耳付き接ぎは「飾り過ぎない、でも魅力的」、そんなテーブルです。
BRUNCHの耳付き接ぎは一枚板に間違われることがよくあります。その理由は接ぎ目を美しく整えているからです。一般的なテーブルの場合、コストや製作時間の関係で、接ぎ合わせる板の並び順や一枚一枚の色味などをマッチさせて製作することは難しく、また接ぎ合せる板は別々の原木(丸太)から製材した板が使われることが多いのです。その点、BRUNCHで取り扱っている耳付き接ぎは同じ原木から製材した板を、より美しく見えるよう並び順や色味を考慮しながら作られています。当然同じ原木から製材した板を使えば、色味はより近い雰囲気になり、接ぎ目がより美しい仕上がりになるのです。この世にふたつとない一点物の耳付き接ぎだからこそ、細部にまでこだわり、木の良さを最大限活かすように製作されています。
耳付き接ぎの魅力
耳付き接ぎの魅力は、そのバランスの良さ。耳付き接ぎは、この世にふたつとない耳付きという魅力と、自然にお部屋に溶け込みやすいナチュラル感を併せ持っています。「普通のテーブルじゃ物足りない、でもお部屋の雰囲気や好みを考えると一枚板だとちょっと個性が強い……」そんな時は耳付き接ぎがお勧めです!
やわらかな雰囲気のクリ材にキリッと引き締まった鉄脚を合わせることで、セットに軽さが出てカジュアルなお部屋にもピッタリです。ナラ材やブナ材、メープル材のチェアを合わせて、明るい印象のお部屋に。
落ち着いた色味であるウォールナットの耳付き接ぎはシックな雰囲気に。ボリュームがあるチェアと合わせても負けない耳付きの存在感を感じつつ、主張しすぎないナチュラル感で、お部屋にすんなり馴染みます。
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